彼の溺愛はわかりづらい。


平然としながら言っちゃったけど。
…冷静になってくると、めちゃめちゃ恥ずかしいことに気がついた。

それに海堂、さっきから何も言ってくれないし。

……何か言ってよ。不安になってくるじゃんか。



「……お前、それマジで言ってんの?」

「冗談でこんなこと言えるか」



…あ。
あーあ、ほんと可愛くないな、私って。

なんですぐにケンカ腰になっちゃうんだろう。今までの癖?

なんにせよ……告白したそばからやらかすなんて。



「…俺も」

「え?」

「俺もずっと、同じ気持ち」



抱きしめたまま言われるのは、海堂がしてくる心臓に悪いことの中でも、トップクラスでドキドキする。

ううん、ドキドキどころじゃない。
バクバクとか、もっとおかしい音がする。


…でも、少し意地悪な気持ちが湧いてきて。



「…ちゃんと言ってくれなきゃわかんない」

「…っ」



いや、なんとなくわかるけど。
確信ないから、まだ不安が拭えなくて。




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