彼の溺愛はわかりづらい。
うん……もういいや。
しぃが本当に元気になってくれたんなら。
「ちょっと待って、荷物用意する…」
「5分でやってね」
「はーい」
なんだかんだ言って、いつもとあんまり変わらない気がするのは、気のせいじゃないと思う。
さっきのは演技なんじゃないかと思うくらい、いつも通りのしぃだし。
調子狂うから、そっちの方がいいけど。
手早く出掛ける準備をして、出していた飲み物やらお菓子やらを片付ける。
「お兄ちゃん、いってくるね」
「…どこに?」
「しぃの家」
「いってらっしゃい」
…そういえば。
お兄ちゃんってヒマなのかな。
夏休み中、ずっと家にいる気がするんだけど。
…まぁいっか。