彼の溺愛はわかりづらい。
「あれ、琴、どうしたの?」
「いや、てっきり殺されるんだと…」
思ってたんだけど、違う?
なに、このにこやかな感じは。
「そんなことするわけないじゃん!そりゃあね?見知らぬ女と海堂くんが付き合ったとしたら、嬉しくないんだけど」
「私は知ってるから?」
「違う違う。海堂くんのファンクラブ会員はみんな、琴と海堂くんを応援してるんだよ!海堂くんの恋路を、みんなで見守ってたんだよ!」
「…そうなんだ」
それもう、お姉ちゃんやんけ。
弟の恋路を見守るお姉ちゃんの心情やん。
ファン……なの?
まぁ、みんながそう言ってるんだし、そっちの方が都合いいし、信じよう。
「海堂くんファンクラブはね。海堂くんを遠巻きに観察して、海堂くんの視線の先には常に、琴がいるってことを知ってるんだよ!」
「なにそれこわい」
「志波さんと協力して、二人の恋路を見守る協定があるんだ」
「…しぃ、マジで何者だ」