彼の溺愛はわかりづらい。


「あ、ほら。ちょうど来たよ、海堂」

「え…」



なんっつーベストタイミングなんだ。
空気読みすぎでしょ。いや、私的にはもうちょっと遅くてもよかった。



「はよ」

「おはよう…」



さっきまで海堂のことを話していたせいか、上手く彼の顔が見られない。

それに、「おはよう」だってぎこちなくなってしまった。


きっと不思議に思ってるんだろうけど、何もツッコまないでね。



「琴、せっかくチャンスだったのに」

「なっ…やるなんて一言も言ってない」

「でも、喜ぶと思うけどね」



私が「燈」って名前呼びできなかったのを見てたみんなが、わらわらとやって来ては、わざわざからかってくる。

ほんと、いい迷惑だ。見世物じゃないし。金取るよ。


私がそんなめんどくさい状況になっているとは知らないであろう海堂は、登校してきたばかりなのに、机に突っ伏してさっそく寝ていた。嘘でしょ。




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