秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない

必要もないのに使用人に混じり、身を粉にして働くラヴィ。

そこらの貴族令嬢のような傲慢さはなく、謙虚、素直の塊である彼女がとても新鮮に映る。無邪気な笑顔に癒される。

過去の自分がラベンダー畑で直感的に感じたものは間違いではなかった。そう思うと、心を奪われていくのはあっという間で。5歳の年齢差など関係ない。



謙虚でよく働く。気配りも良い。そんなラヴィの使用人からの評判はすこぶる良い。

どこからか突然主人が連れてきた令嬢。夫人自ら教育を施し、ひょっとして、未来の公爵夫人候補なのでは?……と使用人らの間で噂が流れる。

お、おいおい。待て待て。そんな関係ではないし、第一ラヴィは、神殿から追い出され……という話が出来るわけでもなく。反論、弁解を口にする事は出来なかった。

特に、母の侍女である幼馴染のミモザからは激推しされる。

『ラヴィ様の素直で笑顔の素敵なこと。あそこまで動き、気配り上手な貴族令嬢は他にはいません。これは優良物件ですよ、公子様』

『優良物件?そんな建物みたいな言い方するんじゃないよ、ミモザ』

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