秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない


「……この度は、ラヴィの監護を引き受けて下さって、感謝しています」

「おいおい。それはさっきも聞いたぞ。それに……」



この男の堅苦しさには、本当に呆れる。

だが、亡き親友の面影があると感じると、自然に口角も上がるものだ。

「おまえらの面倒は俺が見るって前から言ってるし?それに……これは、王太子殿の密命だろうがよ」

「それはそうですが」

「王太子の話がそれはそれで本当なのだとしたら、乗っかるに決まってんだろ。俺だってなんだかんだやらかしてしまっても、結局は愚息が可愛い」




ーーこの話を、愚息・アルフォードの学友でもある王太子エリシオンから聞いた時。いろんな意味で、心底震え上がったのは言うまでもない。

まさか、そんな話が現実に存在するのかという。




王太子エリシオンと、愚息アルフォードを含むその側近らは。

学友でもあるとある一人の令嬢に、禁術【魅了】を掛けられていた可能性がある。

そして……その禁術【魅了】と考えられる術が、一人の少女によって解かれたであろう、と。
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