イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
キスは徐々に濃厚になるが、彼の手は大人しく服の上から私の身体を確かめているだけで、それ以上踏み込むことはない。
……少し、覚悟はしていたのだけど。
「ん、ふ……」
長く続くキスに息苦しさを感じて、空気を吸い込んだ拍子に大きく唇が開いた。その隙に、あわいを舐めていた彼の熱い舌が口内に潜り込む。
舌を絡める濃厚なキスに翻弄されて、頭の中に霞がかかり思考が回らなくなった頃。
少しの隙間を残して離れた唇が、熱のこもった吐息を零しながら囁いた。
「急がなくていいんだ、少しずつ」
「ん……」
「歩実のペースで、許してくれたらいい」
胸を締め付けるような愛おしさを感じて、目を細めた。こんな風に想ってもらえるようになるなんて、お見合いをしたあの日は思いもしなかった。