イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
他の人に嫌われようがどうだろうが別にいいや、という私の元々のスタンスで居られる。郁人さえいてくれれば、私は自分を保てるらしい。
逆に言えば、もう彼がいなければ、元の私は私ではいられないということだけれど。
眉間をマッサージしながら笑うと、その手首を大きな手でやんわりと掴まれ横に避けられる。私の手で隠れていた郁人の顔が、ちょっと呆れたような表情に変わっていた。
「俺がいるのは当たり前だ」
「うん。だから叔父さん叔母さんの嫌味くらい聞き流せるよ」
「歩実はものすごく繊細だと思っていたが、びっくりするくらい強いな」
それは、郁人がいるからだ。
かつての私は人を寄せ付けないことで自分の平穏を保っていたけれど、今は郁人がいるから寂しくない。幸せだ。
郁人が掴んだ私の手に唇を寄せる。指の付け根に熱い吐息を感じて、少しのくすぐったさの中にぞくぞくとする官能を見つけてしまう。