恋愛下手な年下研究者の実験体になりました。



 「夢さん、僕、大切にします。年下だけど、しっかり守っていきます。」
 「ふふふ、ありがとう。頼りにしてるね。」
 

 彼の腕の中で笑うと、律紀もつられて笑顔になった。  
 あぁ、この人が自分の恋人になったのだと、彼を見つめてしまう。
 彼と目が合うだけで、幸せで溺れてしまいそうだった。


 そんな夢を律紀は目を細めたまま、見つめてそっと顔に触れた。
 そして耳まで真っ赤になりながら、律紀は夢に甘いお願いした。


 「夢さん、……キスしてもいいですか?」
 

 恋愛下手な彼からすぐにそんな事を言われるとは思ってもいなかったので、驚いてしまったけれど、夢はすぐに微笑み返した。
 女だって、好きな人と触れあいたいと思うのだ。もっと近づいて、彼を感じたいと。 


 「そういうのは聞かなくてもいいの。」


 照れ隠しで夢がそういうと、律紀はまた「難しいですね、恋愛は。」と呟くように言った。


 「もっと勉強しないと……教えてくださいね、先輩。」
 「うん。でもね、律紀くんがしたいようにするのも見てみたい。」
 「………それ、なんか嬉しすぎます。」


 律紀の顔が近づいて、短く触れるだけのキスを落とした。
 ゆっくりと唇を外し、お互いにうっとりした目を開けると微笑み合い、またキスをする。

 そんな戯れのような甘いキスを繰り返していくうちに、夢の手から緑色の鉱石がコロンッと落ちてソファに落ちた。

 2人はそれにも気づかずに甘い時間をいつまでも過ごしていた。






< 112 / 131 >

この作品をシェア

pagetop