水瀬くんは浮気をする生き物です




嬉しいな。自然と頬が緩んじゃうや。




「そうそう。蒼、見ての通り珍しくぞっこんで面白いんだよ。ね、心和ちゃん」




火照った頬を隠すように両手を当てて俯いていたら、紫乃くんに思いがけず話を振られてハッとした。




「あ、えっと…?」




やばい、聞いてなかった。紫乃くんなんて話しかけてくれたんだろう。



聞き返したくて小首を傾げると、雪也さんがふっと小さく笑って。




「蒼、大事にしてあげなね」



未だに紫乃くんに睨みをきかせる蒼くんの肩にぽん、と手を置いたかと思えば、タイミングよくお客さんに呼ばれてそのまま去っていった。



< 171 / 234 >

この作品をシェア

pagetop