チャラ王子に捕まりました。
レッスン室空いてるといいなぁ…。
なんて願いながらレッスン室のある棟へ向かうと、幸いにも一番奥の部屋だけ誰にも使われていなかった。
ほかの部屋に比べて日当たりが悪いのか、少し薄暗いけど、私にはそれがなんだが落ち着く。
「…やっと弾ける」
小さな声で呟きながらピアノの前の椅子に腰をかける。
そして、ふぅ…と一息つくと、指を鍵盤の上に置いた。
即興曲 第4番 嬰ハ短調作品66「幻想即興曲」。
美しく流れるような旋律で描かれており、ショパンならではの魅力が詰まった表現力が求められるこの曲。
深い表現力が求められるショパンの曲は、自分の音で色々な表現が出来るから好きだ。
決して上手いという訳では無いけれど、それでも私はピアノをやめたくない。
音楽の楽しさをもっと学びたくて、一生懸命練習して入ったこの高校。