それは、見事な
日曜日
日曜日の新聞の広告は嫌い。求人広告が多いから。

チーンと間抜けな音をたてて、トースターが無事に仕事を終えた。もう、20年くら働いているそれは、パンを焼いたとは思えない独特の匂いを醸し出している。週一日か、二日、しかも朝だけ何枚かのパンを焼くだけなんて、羨ましい仕事だなんて、どうでもいい事を考えながら、ハルは隣に座ってコーヒーを飲んでいる母に、パンをとるように促す。「ハイハイ」と不満そうにしながら、頼んでもいないお皿までだして、その上にパンがのせられる。「まったく、」なんて、いいながら甲斐甲斐しくパンを渡してくる母に、少しげんなりする。嫌なら、とらなきゃいいのに。そんな些細な事に必要とされる事を実感してよろこんでいる母に、少々気持ち悪さを感じながら、テレビをつける。日曜の朝の番組は酷い。政治や経済に対して腹をたててる大人が一杯でてくる。マーガリンを塗ったトーストをかじりながら、チャンネルをぐるぐるまわす。スポーツ特集が流れる気配は一向にない。何で、これだけニュースの番組が多いのに、みんな似たような構成なのか。
なかなか、プロ野球のニュースがでない事に対してしびれをきらして、母が読んでいる新聞を横取りする。
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