俺だけ見てろよ~御曹司といきなり新婚生活!?~
勧められて、パクッとひと口。
すると、チーズが舌の上でとろけていき、口の中に幸せが広がる。


「とっても濃厚ですね。すごくおいしい」
「な?」
「渡会さん、いつもと話し方が違いません?」
 

さっきから気になっていたことを思いきって尋ねる。
 
仕事中の彼なら『おいしい』に対する返答は、『な?』じゃなくて『そうでしょ?』というような言い方をするはずだ。


「会社ではおとなしくしてるから。こっちが本当の俺」
「おとなしく?」
「そのほうが仕事が円滑に進むしね」
「はぁ……」
 

なんと返したらいいのかわからない。


「高遠にはありのままの俺を知っておいてもらいたいし」
「どうして私?」
「どうしてだろうな」
 

彼は食べる手を止めて私に真摯な視線を向けたあと、口角を軽く上げる。


「そんなことはいい。今日はお祝いだから好きなだけ飲め」
「好きなだけって、そんなに酒豪じゃないですよ」
「あはは」
 

渡会さんってこんなに表情を崩して笑うんだ。
それもまた初めて見たので驚いた。
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