俺だけ見てろよ~御曹司といきなり新婚生活!?~

これまで男性と話す経験なんてほとんどなかったのに、会社では当たり前のように会話を交わし、冗談まで挟んだりして。

本当は心臓がバクバク音を立てているけど、それは絶対にバレないように取り繕っている。
 
そうしていると、孤立していた学生時代とは違い、常に誰かが話しかけてくるようになり、『絶対に無理』とまで言われた地味女からは脱却できたのかな?と感じている。

しかも、どうやら途切れることなく彼氏がいるに違いないなんて噂まであるのだ。


ただし、肝心の彼氏はその噂のせいでまったくできないという、なんとも言えない悪循環に陥っている。 

――男の人と付き合ったことすらないのに。


七センチヒールのパンプスを履き、背筋を伸ばして顔を上げて歩くのは、余裕のある大人の女に見せるため。
 
本当は誰かに見られるのは得意じゃないので、コソコソ隠れていたいくらいだけど、今さらキャラを変更できない。


「おはようございます」
 

啓陽堂本社ビルの八階にある第二営業部が私の仕事場。
< 4 / 38 >

この作品をシェア

pagetop