忘れられないひと【完結】




「こんばんは、初めまして」


楽しもうと思い、愛想笑いを浮かべると、隣の男性に挨拶すると驚いた様子で私を見ていた

え?私?
知り合い、じゃないよね?

歳は私よりは上だよね?
サラサラの髪に、驚いた様子ではあるがかなりのイケメンじゃないだろうか?
仕事帰りなのだろう、仕立ての良いスーツを着こなしている
こんなイケメン知り合いにはいないな


「あ、えっと………」


あまりに反応がないので戸惑う
声を掛けたのが不味かったのだろうか?


「あ、ごめん」


彼はハッとした様に目を逸らした
何だか気まずいな、でも今さら他の席に移動するのも失礼だよね

なんとなく、楽しもうと思っていた気持ちが削がれていく気分だった


「いえ、ここ座っても良いですか?」

「え、あぁ、どうぞ」


とりあえず、嫌な感じではなかったので良かった
それにしても、さっきの驚いた顔は何だったのか
知り合いに似てたのかな?
元カノとか?
一人で想像して何だか笑えてくる


「山野飲んでるか?」

「あぁ、」

「優紀の友達だよね?」

「はい」

「俺、優紀の幼なじみの元木崇ね、よろしく」

「あ、真山紗也です
よろしくお願いします」


差し出された手に握手をすると嬉しそうにブンブンと繋がれた手を振った

くっきりとした、これまた正統派なイケメン
かなりモテそうな人だな
優紀の幼なじみなんだ


真面目な雰囲気なのに人懐っこい
ギャップ萌えってやつ?


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