俺、男装少女だから。
指を一本一本折りながら確認する担任は思い出したようにポケットの中からファスナーのついた袋を取り出した。



「これ、特待生のバッチ。
ネクタイに付けといて。」



渡された桜の形をした金バッチ。
ブレザーの胸ポケットにホイッと落としてまた担任を見る。



「よし、俺からは以上。
なんか質問ある?」



『センセー、寮名簿に名前なかったんですけど。』



「あぁ忘れてた。
桜駅の近くに新しく特待生用の寮を建てたからお前らはそこ。」



机の横に置いていたカゴからパンフレットを取り出し、広げて俺たちに見せた。



木造三階建ての一戸建て。
写真で見る限りとても綺麗だ。
ピカピカなトイレにキッチン。
くつろげるダイニングとリビング。
広すぎるくらいの個室。



「ということだから、あとは5人で。
俺は職員会議に行かなくちゃいけないから。」
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