恋を忘れたバレンタイン
バレンタインデーのはじまり
バレンタインデーの朝…… 

 関係ないと事は分かっているが、それにしても私の体は重い。その上寒気までする。

 今日は、木曜、明日頑張れば休みだ。仕事も休むわけには行かない。乗り切らなければと気合いを入れるよう背筋を伸ばし、自分のデスクに座る。


 朝から、女子社員達がそわそわ、キョロキョロしながら落ち着かない雰囲気なのは分からない訳じゃないが、なぜか、ハゲたおやじ達もソワソワ、ニタニタしている。
 例え義理でも、若い女の子からもらえば嬉しい物なのか…… 
 一か月後のホワイトデーに大金はたくハメになると思うと何だか哀れな気もするが……


 昼休みのチャイムが鳴ったので、一応自分の島のデスクに一つ筒チョコを置く。
 別に男子社員だけに配る必要もないので、皆のデスクの上に置く。部長のデスクにも……


「主任、私もいいでんすか? ありがとうございます」

 同じチームの山田加奈が、お世辞でも嬉しそうにお礼を言ってくる。
 若い女の子にしては、仕事もきちんとしているし礼儀ある社員であり、責任ある仕事を任せる事が出来る一人だ。
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