恋を忘れたバレンタイン
 たとえ一夜だけでも、私は彼に愛された。

 彼の口づけも、彼の言葉も仕草も……

 いや、私を助けてくれた時から、彼の愛だったのかもしれない……
 彼は、私を愛してくれた……


 だから、私は、彼を忘れる事が出来なかった……

 でも、それだけじゃない……
 私も彼を愛してしまったから……


 今頃気付くなんて……
 なんて、バカなんだろう……


 愛される事、愛する事にきちんと向き合えば良かった。
 もっと、素直になれば良かった。
 私は、あの日から、後悔ばかりしている。


 彼は、もう、私の事など嫌になっているだろう……
 
 彼が戻ってきてから、目を合わせる事すらなかった。

 睨まれていたあの頃が良かった。
 彼の目に、自分が映るだけマシだったとさえ思ってしまう。
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