復習したい

「今日からとりあえず1週間は7:30には出社するぞ」

「はあ?!何でそんな早くに行かなきゃいけないのよ!」

「何でって、まず俺たちは部署が違うから通常業務で会う事が無い。つまり普段は打ち合わせが出来ない。」

打ち合わせ、と言うのは昨日の一億円の取引についての事を言ってるのだろう。

「部署が違うからって、打ち合わせ出来ないことは無いじゃない。どっか空いてる会議室とか借りてすれば良いし」

「5000万の契約破棄になった事、誰にも言ってないから俺たちが会議室で何かをしてるのがバレるとめんどくさいんだよ。だから昼間はやれないし、残業で社内に人が居る夜も無理」

「え、契約破棄になった事皆んなに知らせないの?」

てっきり今日の朝皆んなの前で契約破棄になった事を言うのかと思って昨日の夜、めちゃくちゃ憂鬱になっていた。
皆んな一丸となって頑張って、契約取れた時は大喜びしたあの時を思い出すと、申し訳なさでいっぱいになる。

「発売まで3ヶ月のこのスパートをかける時期に、そんな報告されたらモチベーションが下がるだろう。部長も隠す事には賛成してたし、城内さんにもちゃんと言っておいた。時期が来たらいずれは言うけどな。」

確かに今、契約破棄になりましたなんて言ったら自分達の頑張りが水の泡になったと思ってやる気が無くなる人もいるかもしれない。
実際、5000万という大金の契約が取れた事で、部署全体の景気も上がったし、自分も取るぞとモチベーションが上がった人も多かった


いつのまにそんな話になってたんだ。城内さんもこいつにあの後会ったのか。...というか、ここまで話が通るってどんだけの権限を持ってるんだこの若造。そもそもこの契約破棄の件、隠し通せる程小さい物じゃ無いはずなのに....。恐ろしい。



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