愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
男子高校生の恋愛事情
夏休みも残すところあと10日となったその日、同じ高校のバレー部で副キャプテンをしていた中村 太一が、一緒に勉強しようと言ってうちにやって来た。

太一とは幼稚舎から同じ学校に通っていて何度か同じクラスになったことのある友人だったけど、特に仲良くなったのは高校のバレー部で一緒になってからだ。

大手スポーツ用品店を経営する太一の父親は、学生の頃はプロ野球選手を目指していたらしい。

そんな父親の影響もあってか、太一も中学までは野球をしていたけれど、高校ではバレー部に入部した。

その理由を尋ねると、野球はもう飽きたし、単純に俺とバレーやった方が面白そうだったからだと言っていた。

10時過ぎにやって来た太一は、ニマニマしながら勉強道具を広げた。

その理由はなんとなく予想がついたので聞きたくはなかったけれど、太一は話したくてしょうがないらしく、早く聞いて欲しそうな顔をしている。

「太一……そのにやけた顔、気持ち悪いぞ……。一応聞くけど、なんかあったのか?」

しぶしぶ尋ねると、太一はもったいぶってすぐには答えない。

「あったように見えるか?」

「見えるよ。聞いて欲しいんだろ?」

「聞いて欲しいってわけじゃないけど、潤がどうしても聞きたいって言うなら話してやらなくもない」

「じゃあいいよ。勉強始めよう」

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