というわけで、結婚してください!
 


「窪田さん、今日暇ですか?」

 鈴たちが九州に入って、しばらくした頃、数志は窪田のホテルまで戻っていた。

「今日、面白いものが見られるかもしれませんよ」
と言うと、フロントカウンターに居た窪田は、ほう、と笑う。

「そうか。
 なんだかわからないが、楽しそうだな。

 だが、休みはたくさん溜まってるんだが、今、抜けられるような状態ではなくてな」

「そうなんですか、残念です」
と言うと、窪田は黒い帳面を持ったまま、微笑み、続けて言ってきた。

「オープン前だからなあ。
 まあ、もう段取りは業者にもスタッフにも伝えてあるから、スタッフがしっかりやってくれさえすれば、抜けられないこともないはずなんだが。

 今、抜けられるような状態なのかなあ、俺は――」

「い、行ってきてください、窪田さん」

「行ってきてください、支配人っ」
と側に居た若いスタッフと副支配人らしき女性が慌てて言っている。
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