というわけで、結婚してください!
 



 尊は母屋に戻ったが、やはり、人の気配はなかった。

 パーティから、なかなか帰って来ない父親にもイライラした。

 お前の息子が暴走してるぞ、止めろよっ、と思う。

 泉美に関しては、もはや、諦めていた。

 長い付き合いだ。

 世話にもなかったが、彼女の気性は熟知しているので、あまり当てにはしていない。

 それにしても、と尊は、家の中を見回す。

 この間まで自分の家だったのに、なんだかよそよそしく感じる。

 征に追い出されたからというのもあるだろうか。

 ふと、いつか鈴が呟いていた、
『私の帰るところは何処なんですかね』
という言葉を思い出す。

 それは、そっくりそのまま自分にも当てはまる気がした。
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