というわけで、結婚してください!
「ロールス・ロイスはいいんだが。
俺が運転手だよな」
と尊は、長時間乗っていても疲れないように、と武田執事長が玄関先に用意してくれた車を見て言う。
ロールス・ロイス ファントムだ。
後部座席はクールボックス付きドリンクス・キャビネットなどもあり、豪華だが、運転席は普通。
「これだと俺が鈴の運転手だよな……」
と呟く尊に、鈴は、
「私、助手席に座りますよ」
と笑う。
「後ろに布団とか詰め込んだらいいじゃないですか」
と鈴は言ったが、尊はまだ、
「社宅の駐車場には止められない気が……」
とぶつぶつ呟いていた。
だが、できるだけ、大きく安全な車で、というのが、武田執事長の親より親らしい親心のようだったので、尊はそのまま、ファントムの運転席に乗り込んだ。
みんなに見送られ、出発する。