というわけで、結婚してください!
  


「ロールス・ロイスはいいんだが。
 俺が運転手だよな」
と尊は、長時間乗っていても疲れないように、と武田執事長が玄関先に用意してくれた車を見て言う。

 ロールス・ロイス ファントムだ。

 後部座席はクールボックス付きドリンクス・キャビネットなどもあり、豪華だが、運転席は普通。

「これだと俺が鈴の運転手だよな……」
と呟く尊に、鈴は、

「私、助手席に座りますよ」
と笑う。

「後ろに布団とか詰め込んだらいいじゃないですか」
と鈴は言ったが、尊はまだ、

「社宅の駐車場には止められない気が……」
とぶつぶつ呟いていた。

 だが、できるだけ、大きく安全な車で、というのが、武田執事長の親より親らしい親心のようだったので、尊はそのまま、ファントムの運転席に乗り込んだ。

 みんなに見送られ、出発する。
< 361 / 477 >

この作品をシェア

pagetop