というわけで、結婚してください!




 着替えたあと、フィアット500に乗り込んだ鈴は、すぐに走り出した車の中で、尊に、

「どうですか?」
と訊いてみた。

 両手を広げ、今着ている尊の服を見せてみたのだが。

 尊は前を見たまま、素っ気なく言ってくる。

「どうですかってなんだ。
 褒め言葉を強要するな」

 面白くない奴め。
 この兄弟、こういうところは似てるな、と思いながら、

「……貴方、モテないでしょう」
と思わず言うと、

「だが、お前は、ついて来てるじゃないか」
と尊は言う。

 いやいやいやっ。
 貴方に惚れて、ついてってるとかじゃないですからねーっと思いながら、
「帰りにくいだけですよ」
と渋い顔で鈴は言った。

「家出娘か……」
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