というわけで、結婚してください!

 


「湯加減はどうだ?」
「いい感じですー」
と言いながら、鈴は湯に浸かっていた。

 コルセットは息を止めながら、ゆっくり時間をかけて外したら外せた。

 ホック部分が外れず、かなり長く息を止めていたせいで、軽く死にそうにはなったが――。

 浴室は山と湖に面していて、ホテルのスタッフも通らないので、鈴は窓を開け放して入っていた。

 外の日はまだ高く、浴室には、燦々と日差しが降り注いでいる。

「いいお天気ですね~」
と鈴が思わず、呟くと、

「お前は呑気だな」
とすりガラス越しに尊に言われた。

 何故がガラス扉の向こうに立っているようだ。

「後悔してるんですか?
 もう帰ります?」
と鈴が訊くと、阿呆か……と言う。

 お、ジェットバスにもなるようだ、と壁にある操作パネルを見ながら、鈴は言った。

「いやあ、私もそう呑気でもないんですよ。
 帰ったら、きっと、ガッツリ親にも怒られますよね~。

 20センチのフライパンか、26センチのフライパンで殴られると思います」
と言うと、

「なんだ、それは……」
と言われる。
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