というわけで、結婚してください!
「いや……、それ、なにも調子に乗る要素、なくないですか?」

「気にするな」
と言ってくる窪田に、

 駄目だ。
 この人と話してると疲れる、と数志は思った。

 早く切り上げさせるための罠なのだろうか、と思いながらも、
「あのー、お二人が何処に行かれたのか、ヒントだけでもくれませんかねー?」
と最後に訊いてみた。

「いや、そうやってお前たちに脅されたり、拷問されたりするかと思って、あえて聞かなかった」

「俺は拷問しませんよ。
 ……征様は知りませんけどね」

 っていうか、手ぶらで帰ったら、俺がされそうなんだが、と思いながら、これ以上居ても、どうにもならないので、じゃあ、ありがとうございました、と数志は城のようなホテルを出た。

 可愛いカップルか。

 なんか、いやいや連れ去られてる感じじゃないな……。

 そう征様に報告すべきか否か。

 うーん、と迷いながら、数志は車に乗り込んだ。






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