というわけで、結婚してください!

 
 

 どうしよう。
 阿呆なカップルだ……と思いながら、数志は二人を眺めていた。

 だが、今なら、窪田が言っていたことがよくわかる。

 なるほど。
 今のこの二人は、初々しい、可愛らしいカップルに見える。

 征と鈴の見合いを自分も遠くから見ていたのだが、びっくりするくらい会話が弾んでいなかった。

 結納は仕事で立ち会えなかったのだが、やはり、同じだったろう。

 ……どうすんですか、征様、これ。

 っていうか、どうしたらいいんだ、俺、と思いながら、数志は、なおも続く、鈴の話を聞いていた。

「そういえば、私、地球の真ん中辺りが暑いのは、遠赤外線が通ってるからだと思ってたんですよ」

「赤道だろ……」

 ……さっき、小話《こばなし》はないとか言わなかったか。
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