絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
「心配しただろ? ……見つけることができてよかった」

そう言うと彼は真正面から私の身体を優しく包み込んだ。大きな手が背中を撫でていく。

「ずっと麻衣子をひとりで泣かせるところだった」

「上杉さん……」

心底安心した声で言う彼に、熱い想いが込み上げ涙が頬を伝った。

「磯部さんは……? だって今日は磯部さんへのお礼で食事に来ていたんですよね?」

素直になれない私は可愛げのないことを言ってしまった。

だって気になるから。いいの? 磯部さんと来ていたのに、抜け出してきたりして。
嬉しいくせに素直に喜べなくて問うと、彼はクスリと笑った。

「俺にとって一番大切なのは麻衣子だから。……麻衣子の一大事に悠長に部下と食事なんてできるわけないだろ?」

欲しい言葉をもらえて、単純な私は嬉しい気持ちで胸がいっぱいになる。

すると想いが溢れて止まらず、堰を切ったように口にした。
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