絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
こんな身勝手な感情を抱くのは、きっと私が上杉さんのことを好きだからだ。それ以外の理由なんて考えられない。

でも今の私のままじゃ、自信を持って彼に好きなんて言えないよ。だって私自身が自分のことを好きになれないもの。こんな自分、大嫌いだもの……。

再び涙が零れそうになり、バッグを胸の前でギュッと抱え込んだ。
背中を丸め、必死に涙を堪える。

私、どうしたらいいんだろう。家にも帰れないよ……。

悲しくて苦しくて、胸がキリキリと痛み出した時、背後から力強く抱きしめられた。

「……やっと見つけた」

そして頭上から聞こえてきたのは、乱れた呼吸と安心した声。

「どうしてここに……?」

後ろを見なくてもわかる。私を抱きしめているのは上杉さんだって。

背中越しに伝わってくる彼の鼓動は速い。それに呼吸も乱れている。走って探してくれたの?
少しだけ私を抱きしめる腕の力が弱まり、ゆっくりと振り返る。

すると不安げな瞳を向ける彼と目が合った。
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