絶対俺の嫁にするから~御曹司のイジワルな溺愛包囲網~
それから食事を済ませ、真理愛は一足早くオフィスに戻った。私も石上君が食べ終えるのを待ってふたりで戻る途中、彼は廊下を進みながら「うーん……」と唸った。

「それにしても大曽根、どうしてあんなに笑ったんだろう。俺、なにかあいつを笑わせるようなことを言ったと思うか?」

今頃になって疑問を抱いたようで、聞いてきた石上君に乾いた笑い声が漏れる。

「えっと……あれじゃない? 真理愛って笑いのツボが他の人と違うんじゃないかな?」

苦し紛れの理由を述べると、単純な石上君は納得した様子。

「なるほど、そうなのかもしれないな。ありがとう、有坂。おかげですっきりしたわ」

「いいえ、どうしたしまして」

石上君が先輩たちに可愛がられる理由は、この性格にあるんだろうな。

妙に納得していると、通り道に化粧室があるのを見つけた。いつも使っている化粧室ではないけど、どこも同じだし。

そう思い、石上君に先に戻ってもらうよう伝え、メイクを直しに化粧室に向かう。

話し声は聞こえないし、先客はいなそうだ。
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