絶対俺の嫁にするから～御曹司のイジワルな溺愛包囲網～

「それにしても有坂さんと石上君、羨ましいなぁ。噂の部長の下で働けるなんて」

秘書課に配属された大曽根(おおそね)真理愛(まりあ)が、私と石上君を羨ましく見ながら言う。

だけど私も彼も、その噂の部長とやらの話は全く知らず、お互い顔を見合わせて小首を傾げた。

「え、なにが羨ましいんだ？　もしかしてものすごく優秀な部長とか？」

日替わり定食をバクバク食べながら聞く石上君に、大曽根さんは目を見開いた。

「やだ、石上君知らないの？　……もしかして有坂さんも？」

疑いめいた目で見られるも、知らないのだから仕方ない。恐る恐る頷くと大曽根さんは、「信じられない……」と呆れたように呟いた。

「石上君はともかく、有坂さんが知らないとは思わなかった。社内研修中に指導してくれた先輩から聞かなかったの？　介護事業部のパーフェクト部長のことを」

「パ、パーフェクト部長……？」

なんというネーミングだろうか。そもそも人間の中にパーフェクトな人なんているの？

疑念を抱いていると、話を聞いていた他の同期も話に入ってきた。