イケメンエリート、はじめての純愛⁇
映司が咲子の祖父と明智君との二次会を済ませホテルの部屋へ着いた時は、もう深夜の11時を回っていた。
リビングに咲子の姿はなく、映司は奥のベッドルームへ直接向かう。
すると、そこは異様な匂いが漂っていた。
いや、異様と思うのは男の臭覚の話であって、女性はこの匂いをいい匂いと思うのかもしれない。
ベビーパウダーのような甘ったるい香りは、酔っぱらっている映司にとって苦しいほどの拷問だった。
「映司さん、お帰りなさい!」
今夜の咲子は薄紅色のシンプルなネグリジェを着ていた。
そのネグリジェごと咲子を抱きたいのに、この異様な匂いが映司にストップをかける。
「咲子ちゃん、この匂いは?」
咲子は嬉しそうに窓際に置いてあるキャンドルを指さした。
そこにはウェディングケーキのミニチュア版のようなバカでかいキャンドルが置いてある。
「この香りは、バニラのショートケーキとそのケーキを取り囲むたくさんの果物の匂いですって。
ちょっと微妙な匂いかな、なんて思ってます。
お料理に使うバニラエッセンスを垂らしたような、甘い香り…」