イケメンエリート、はじめての純愛⁇


咲子は嬉しさのあまり映司に抱きついた。
父は、結局のところ、祖父には逆らえない。
父が会社を継ぐようになってから、祖父は父に何も言わなくなった。

でも、今回は、大好きな祖父が咲子のために立ち上がってくれた。
咲子はそれが嬉しくて、思わず泣きそうになる。


「映司さんは、嫌ですか…?」


咲子は映司の耳元でそうつぶやいた。
咲子にとっては幸せな事でも映司が嫌だというのなら、それはちゃんと諦める。
今の咲子は、自分の思いより映司の思いを何よりも優先したいから。


映司は咲子を抱いたまま、仰向けに寝転んだ。
咲子との結婚は必須事項で、その内容は咲子が幸せである事。
咲子にとって大好きな祖父を悲しませるわけにはいかない。
咲子を子供の頃から支えてくれた孝一の願いは、やっぱり何があっても叶えてあげたい。

咲子の柔らかい体を抱きしめながら、映司は気持ちを固めた。

そうだよ… その日だけ、一日を乗り切ればいいんだ…




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