好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

最寄り駅の一つ向こうにある駅の北口付近にcafe[lodge]があるのだが、その南口に(駅前)に直結するタワーのインフォメーションで働いている私としては、キスマークは由々しき問題だ。

ユニフォームがオーバーブラウスで首周りが開いているということは、セミロングの髪をこちら側に一つに束ねて下ろしていないと見えてしまう。

いつもと違う髪型を突っ込まれないことを祈ろう…

「おはようございます」

ユニフォームに着替えて、早番の詩織さんの横に立った。

小声で「いつもと髪型違うけど、キスマークでも付けられた」

ギクリと体が揺れたらしい反応に、詩織さんはクスリと笑う。

「まぁ、気をつけるように注意しておきなさい」

「はい」

タワーの地下2階から、上は中2階まで商業施設が入り、高い天井の4階は私達がいるロビーと、飲食店がある。5階から最上階までが入居企業がいくつも入ってい為、迷子になりやすい。私達は、そこで各企業に訪れる人や、商業施設を訪れる方達のナビゲーターも務める重要な役割をしていると自負している。

だからこそ、インフォメーションに立っている以上、身綺麗に、好感のもてるメイクをして背筋を伸ばし、笑顔でいなければならないが、詩織さんの教えである。
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