嫉妬深いから

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…そっか。
私がヤキモチを妬くだけじゃなくて。

妬かれることもあるんだ。

その時に、その気持ちを、嫌がって突き放さずに受け止めて。
そっと抱き締めて、優しく包み込むことができたら。

私の黒い気持ちも、許されるのかもしれない。

「ナナ、本能で感じて。

俺に触れられるのは、イヤ…?」

手を握る力を少しだけ強めて、彼が聞いた。

私は、ためらいなく首を横に振る。

彼をきちんと男性として意識して。
それでも、嫌な感じはしない。

むしろ、今握られている手の大きさに、温かさに。
頬に触れた指の優しさに。

甘い声と眼差しに。

強く惹かれてしまっている自分がいる。

──でも。いいのだろうか。
このまま、進んでしまっても。




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