恋愛零度。

「話って、今日千夏ちゃんが休んでることと関係あったりする?」

渡辺さんがそう言って、私はどきりとする。

「気づいてたの……?」

「今日の唯川さん、朝からなんかよそよそしかったから、もしかしてって」

「そ、そっか」

私は苦笑して言った。

桐生くんじゃなくても、バレバレだったみたいだ。

校舎の端っこの、ひと気のない階段。

滅多に人が通らないし、静かだから、もし誰か来てもすぐにわかる。絶好の内緒話スポットだ。

ここなら安心して、訊きたいことを訊ける。

「昨日、三好さんと買い物に行ったんだけどーー」

なかなか出てこない言葉を、思いきって、喉の奥からぐっと押し出すように私は言った。

「見ちゃったんだ。渡辺さんと、由良くんが一緒にいるところ」

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