君想ふ花
合宿の宿に着くと、もうみんなは到着していた。

一人、奥からすごい勢いで向かってくるやつがいる・・・。


ーーー 華(はな)だ。



「翔太!!
 まったく、合宿の企画者が寝坊してどうすんのよ!
 隣の席のはずだった1年生、一人でかわいそうだったじゃない!」


「わりい。
 飲み会でそのまま寝ちまってさ。
 1年生には俺から謝っておくわ。」


「当たり前でしょ!!
 あんたがあの子の隣がいいっていって隣にしてあげたのに
 ほんっとにかわいそう!」


そう言い放ち、華は準備に消えて言った。


っにしても悪いことしたなあ。
でも、俺その子の顔知らねーから謝れねえ。笑

和哉(かずや)が1年の中で一番可愛いっていうから
その子の隣を選んだだけなんだよなあ・・・。

なのに、行き一人にさせるなんて
俺まじで最低だわ・・・。


「あ〜〜〜〜!翔太先輩だぁ〜〜〜〜!」


1年生の亜実(あみ)がやってきた。

俺になついている可愛い後輩だ。
(顔も結構可愛い方で、実は狙っていたりする)


「翔太先輩、遅刻とかひどい〜〜〜〜。
 なつみ、めっちゃかわいそうだったよ〜〜?
 まあ、亜実が隣にいってあげたから、亜実にご褒美してね?」


このぶりぶりキャラも可愛い・・・。
今日の夜、二人で海でも誘おうか。


「あ、なつみ〜〜〜〜!
 翔太先輩だよ!!」


そう亜実が呼ぶ先には・・・・


ーーーッ!!!


まるで時が止まったようだった。
目を離したいけど見てしまう、そんな感覚。


ふんわりとした落ち着いた茶色の巻き髪に
整ったハーフのような顔立ち・・・。
すらっとした体型に、白いワンピースが映えていた。


なつみの容姿は、俺の想像をはるかに超えていた・・・。




気づけばなつみは俺のすぐ前に来ていた。


「ほら!翔太先輩!
 ちゃんとなつみに謝って?」

亜実は俺の気も知らないで、プリプリしている。


「なつみちゃん、ほんとごめん!
 隣の席のはずだった、翔太って言います!
 帰りは一緒だから、いろいろ話そう!」

早くなる鼓動を抑え、俺は平然を装った。

「大丈夫ですよ。
 それよりも先輩が何もなくてよかったです。」

そういって笑うなつみの顔は
今まで見たどんな笑顔よりも可愛く見えた。


俺、この子を幸せにしたい。


そう思った瞬間だった。
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