溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

酔ったため覚えてはいないが、誘ったのは優花の方だ。その場の雰囲気を壊したのは、優花の余計なひと言。男性経験のない優花自身。

片瀬は首を小さく横に振った。


「違う。優花こそ、なにも悪くないんだ。優花は『泊りたい』なんてことも言ってない」
「……え?」


思ってもいないことだった。優花が酔いに任せて片瀬を誘ったのではなかったのか。


「酔った優花を俺が勝手に連れ込んだ」
「そうだったんだ……」


そう言われるとしっくりくる。アルコールが入っていたとはいえ、男性に免疫のない自分が片瀬をベッドに誘うような大胆なことを言えると思えなかったから。

でも、だからと言って、片瀬を責めるつもりも優花にはなかった。あの夜、片瀬とならそうなってもいいと確かに思ったから。


「それなのに……優花にそうして気遣わせて、俺はなにをやってんだ」

まるで自分に言い聞かせるように呟いたかと思えば、片瀬は自分の膝を拳で叩いた。
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