溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

片瀬は手を引き寄せ、優花をソファに座らせた。本当のことという密やかなフレーズが優花を緊張させる。
いったいどんなことを告白するというのか。


「高校生の頃に優花を密かに好きだったのは嘘じゃない。でもこのマンションに誘ったときは、特別な感情はなかった。だから、優花が男を知らないと聞いて焦ったんだ」


やはりという思いだった。優花の想像していた通りだった。片瀬は面倒な女と関わってしまったと後悔していたのだ。
そうだとわかっていたはずなのに、はっきりと片瀬の口から聞かされ、優花は目の前が暗くなる思いだった。


「……ごめんね」


かろうじて口にした謝罪の言葉が震える。あの夜は、片瀬を不快な気分にさせてしまった。


「そんな優花をこんな俺が汚していいのか?って思ったら、手を出せなかった。甘いセリフであんなところにまで持ち込んでおいて、その場で放り出すような真似をして優花を傷つけた」
「ううん、片瀬くんはなにも悪くないから」
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