この気持ち、君に伝えてもいいですか?
「恵梨(えり)だ。おはよー!」


美南が、入ってきた彼女を見るなり両手を上げて叫んだ。

米村恵梨(よねむらえり)。それが彼女の名前。

付け加えると、わたし達の教室の中で1番の美人で、1番のお金持ちのお嬢様。

まさに完成した女子高生。


「おはよう美南、それに優奈」

「おはよ」

「おはよー! 恵梨も聞いて、私の話ー!」


わたし達3人は教室の窓際で固まって座った。

これがわたしのいつもの日常。

高校1年の時からの、変わらない毎日だった。


「もう、美南はまたその話をしてるのね」


恵梨は席に着くなり微笑した。

そんな姿も美しいかった。

一体この学園の何人が、彼女を尊敬し称えているか。

後輩が彼女のことを日々噂しているのをわたしは知っている。


「ほんと、恵梨はいいよね! だって素敵な彼氏がいるんだもん!」

「そうだよ、羨ましいな」


そうなの。

実はこの美少女、他校に素敵な彼氏がいるの。

女子校なのに彼氏がいるって、わたしの周りでは結構珍しいことだった。

まあこんなに美人で素敵な性格の持ち主、彼氏いない方がおかしいんだけどさ。



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