野獣は時に優しく牙を剥く

「ただいま……。」

 遅くなった帰宅に小さな声でそう言うと寝室へと忍び足で進む。

「澪、帰っておったのか。」

 祖父の声にビクッと体を硬直させて「あ、うん。遅くなってごめんね」と小さく答えた。

「双子はもう寝ておる。
 静かに入りなさい。」

 そう言われて、コクリと頷くと部屋へと足早に向かった。

 良かった。気づかれてないみたい。

 そう胸を撫で下ろして自分も寝る準備にとりかかった。

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