クラスメイトの告白。
「それをわざわざ言いに……?」
「紫蘭ちゃんは、緑河くんのことが好きなんだと思ったから」
彼女は泣きながら、私に胸の内を話してくれた。
「最初に蓬先輩がキスしてきたとき、付き合えると思ったんです……でも違った。そういう関係を蓬先輩が求めているだけだって、すぐに気づいたから。片思いなんです」
「好きって気持ち、緑河くんにちゃんと伝えた?」
「たぶん気づいてるけど……いま以上の関係を求めたら、きっと終わっちゃう」
うつむいたまま、紫蘭ちゃんは答えた。
「それでいいの?」
「よくないって自分でもわかってます……でもどうしようもないの。終わらせたくない。好きなの。蓬先輩のこと」
「紫蘭ちゃん……自分を傷つける人を好きでいて、幸せ?」
彼女は黙りこむ。
「どうしようもないくらい好きって言ったけど、緑河くんのこと本当にちゃんと見てる?」
「どういう意味ですか……?」
「彼女じゃないのにキスしてきたり……そういうこと平気でする人なんだよ。緑河くんは、紫蘭ちゃんを大切にしてないよね?」
「一緒にいるときは優しくしてくれるんです。だけど蓬先輩がほかの女の子といるのを見るたびに傷ついて、自分は彼女じゃないってことを思い知らされて、つらくなって……その繰り返し」
「そんなにつらい思いしても、緑河くんのそばにいて傷つくほうがいいの?」
「……傷つかない恋なんて、ないでしょ?」