クラスメイトの告白。





病院からの帰り道、最寄りのバス停で降りた私たちは、真っ暗な田んぼ道を歩いていた。


伊原くんが私を、家まで送ってくれるという。


「今日は茉雛のお見舞い、一緒に行ってくれてありがとな」


「伊原くん、つらいと思うけど元気だしてね。白石さんにもちゃんと伊原くんの声は届いてると思うから」


「汐野のおかげで元気でたよ」


「え? 私……?」


「病室で、汐野が目を閉じて、茉雛の手を握ってる姿見てさ……。前に汐野が言ってくれたこと思いだしたんだ。あきらめるなって、信じろって、俺を励ましてくれたこと」


「私にできるのは、一緒に願うことと、事故のことを調べるくらいだから」


「ありがとう、汐野」


そう言って微笑む彼に、私は首を小さく横に振った。
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