クラスメイトの告白。
「風杏の両親は、さっきまで病室にいたんだけど、いま廊下で警察と話をしてる。風杏が目を覚ましたこと伝えてくるよ」
私は、ベッドから立ち上がった彼の手を、とっさにつかんでしまった。
「どうした?」
「あ、ごめん……あのね、助けにきてくれてありがとう。伊原くんが助けにきてくれなかったら、私……」
「俺が悪いんだ。そもそも俺が茉雛の事故のことを一緒に調べてほしいって風杏に頼まなきゃ、こんなことにはならなかった」
「そんなこと言わないで。私がもっと気をつけて行動すればよかったの。“先生”だからって、安心して信じこんでた」
「でも……」
「それに、こうして私たちが白石さんのことを調べていなかったら、黒河内先生の犯した罪はいまだにあきらかになっていたなかったかもしれないでしょ?」
生徒にひどいことをして、何食わぬ顔で先生を続けていたなんて許せない。
絶対、絶対、許せない。
「自分のこと責めたりしないで。私は大丈夫。伊原くんが助けにきてくれて、守ってくれたから。本当に大丈夫だよ」
私は彼の手をにぎったまま微笑んだ。
「ありがとう。伊原くん」
「風杏……俺さ……」