クラスメイトの告白。


伊原くんがいるとしたら、白石さんの病室。


白石さんの病室の近くまでやってきたけど、彼女の病室に入るには、彼女の家族の許可が必要で、受付で申請が必要だ。


私は少し離れた場所から、扉が閉まっている白石さんの病室を見つめる。


私のスマホはあれから充電が切れたままで、伊原くんに電話することもできない。


扉をノックする勇気もない。


なんだか伊原くんと彼女の時間を邪魔するみたいで……。


やっぱり、お母さんたちのところに戻ろう。


視線を落とした私は、白石さんの病室の扉の横に、花かごが置いてあることに気づく。


なんであんなところにお花が置いてあるんだろう。


誰かお見舞いに来て、置いたのかな……?


「どうかしましたか?」


通りがかった看護師さんに声をかけられた。


「あ、いえ。失礼します」


私は足早にその場をあとにした。


下のロビーにいるお母さんたちのところへ向かう。


それにしても、あのお花……花かご……どっかで見た気がする……。
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