クラスメイトの告白。


伊原くんの胸元に顔をうずめたまま、どうしていいかわからない。


伊原くんのシャツから爽やかないい香りがする。


息をするのも戸惑うほど体が密着していて、気づいたら胸がドキドキしてきた。


「……い、伊原くん、あのっ……」


「しっ!誰か来る」


さらにぎゅっと強く抱きしめられて、再び固まった私は息を止める。


図書室に誰かが入ってきたみたいで、ドアの開閉音がした。


次に聞こえてきたのは、女子生徒と男子生徒の声。


「ホントだぁ。図書室、誰もいないね」


「言っただろ?」


「じゃあ早く」


ん? 早く?


「キスして?」


なっ……!!


いまなんて言った!?


キ、キ、キス!?


図書室にやってきたのは、まさかカップルなの!?


「可愛い顔して」


「早くしないと昼休み終わっちゃうよぉ?」


「せかすなって」


すると、カップルがキスしていると思わしき音が鮮明に聞こえてくる。


ちょっと待ってよ。


こっちが恥ずかしくなってくる。


しかも何回キスすれば気が済むの?


早く終わって……!!
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