クラスメイトの告白。
帽子の彼は、アパートの階段を上がってくる。
私の姿を見つけた瞬間、彼はビクッと体を揺らした。
「伊原くんっ」
「汐野……? ビビった~」
「ごめんね、驚かせて。こんな夜に誰かがドアの前にいるとか怖すぎるよね」
「どうした? なんかあったのか?」
伊原くんのことが心配で、顔を見に来た。
そう素直に言えばいいのに、言えなかった。
それより、帽子を深くかぶっていて、まわりが暗くてはっきりと顔は見えないけど、やっぱりどこか元気がなさそうに見える。
「とりあえず、中に入れよ。あとで家まで送ってく」
彼はドアの鍵を開けて、私を部屋の中に入れてくれた。