お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
「夏海!夏海!?」
カラオケから帰った俺は速攻で夏海の家にいった。
夏海の部屋のドアを激しくノックする。
まさかまだ帰ってなかったりして…!!
サアッと血の気が引くのが分かったとき、ゆっくりとドアが開き仏頂面の夏海が顔を出した。
よかった、帰ってたんだな!
ホッとする俺に夏海が仏頂面のまま聞く。
「何か用?」
「おい、鈴木とホントにアイスデートしてきたのかよ!?」
「…そっちこそ、あの綺麗な人とどこか行ったんじゃないの?」
「綺麗な人ぉ?…ってもしかして結衣のことか?無理やりカラオケ連行されたけど、そんなことより、お前鈴木と…!」
バンッとその時、勢いよくドアが閉まった。
…突然のことで、何が起こったのかよく分からない俺。
…は?何?閉め出された?
「おいっ、急になに…!」
ドアノブをひねってみるが、開かない。
…まさか鍵かけたのか!?
「お兄ちゃんのバカ」
焦る俺に、ドアの向こうから夏海の声が聞こえた。
「もう知らない」
「…はぁ!?急になんなんだよ!?おいこら、夏海!」
しかしそれからどんなに俺が騒いでも、中の夏海が応答することはなかった。
…何だ!?急に何が起こった!?