お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
つーか…。
その時、気づいた。
今、校庭で体育をしているのが夏海のクラスということに。
どうやらハードルの授業らしい。
夏海がピョンピョンと華麗にハードルを越えていく。
夏海は勉強は苦手だが、運動は得意だ。
…くそ、綺麗だな、あいつ…。
なんて思いながら見ていると、ガッと最後のハードルに足を引っ掛け、勢いよく夏海が転んだ。
「!!!」
思わず窓際に身を乗り出す。
な、夏海アイツ、今思いっきり顔から転ばなかったか…!?
「…い、おい千葉!」
その時、現国担当の須田に丸めた教科書で頭を叩かれた。
「お前、さっきから全然授業聞かずに何を…」
「先生!!」
勢いよく立ち上がると、須田が「お、おう」と俺の勢いに押されて一歩下がった。
「具合が悪いので保健室行ってきます!!」
「はぁ?そんな元気そうに何言っ…千葉!」
悪いな須田。今は現国どころじゃねーんだよ。
俺は教室を飛び出して、勢いよく階段を駆け下りた。