I Still Love You

制作現場でも必要な人間である壮一のスケジュールは、重要を示す赤色の文字が溢れていた。

いつ自分の仕事をしているのだろう……。

そう思い、無意識壮一の部屋の方向へ視線を向けると明かりが漏れているのがわかった。

消し忘れたのかと、そこへ足を向けて日葵はドアを開けて息を飲んだ。

ブラインドから差し込む光にも気付かないで、机に突っ伏して眠る壮一の姿が目に入る。

いつものキッチリとしたスーツ姿ではなく、上着はデスクの前にあるソファーに無無造作にかけられていて、ネクタイも散らばっていた。

いつでも完璧で、乱れた姿など見たことのなかった日葵は、その光景に何故か胸がギュッと締め付けられる

当たり前だが、壮一だって人間だ。

この数カ月、壮一が来てからのチームの一体感は格段に上がり、壮一のすごさを日葵自身も実感していた。

上との連携もスムーズになり、スタッフも増え、日葵の負担も確実に減った。

そう、当たり前だが壮一の負担が増えている。そんなことすら気づいていなかった。
それほど自分の気持ちにいっぱいいっぱいで、過去の事にとらわれていた自分はなんて、子供なのだろう。
< 107 / 229 >

この作品をシェア

pagetop